「緩和ケア」への誤解とマギーズ。
よく取材に行く霞ヶ関のイイノホールのステージにあがることになる日が来るなんて、ドキドキ。
300人を超える方が会場にいらしていたそうです。
さて本題。
皆さんは、「緩和ケア」と聞いたら、どんなことを思い浮かべますか?
私は、「緩和ケア」=終末期に、モルヒネなどの麻薬を打ちながら痛みをとるケア、というようなイメージを持っていました。
もうできる治療がなくなってから死ぬまでの間、少しでも穏やかに過ごせるようにするためのケアで、「緩和ケア」をする段階になったらもう治る見込みはないんだって、誤解していました。
そんな風に思っている人、多いのではないでしょうか?
私もがんについての勉強を始めて初めて、それは昔の話で、大いなる誤解だったんだって知ったのです。
では、緩和ケアってなんだろう?
いただいたリーフレットによると…
重い病気に伴う身体と心の痛みを和らげること。
そして、それは、終末期になってからではなく、「がんとわかったときから」始まるものだということ。
国も、2007年から「がんと診断された時からの緩和ケア」を推進しているのに、2008年に自分ががんになった当初は完全に誤解していました。
そして、それは、痛みをとるということだけに限りません。
下記、5つの支援。
ということで、お気づきの方もいるかと思いますが、私たちがこれからオープンしようとしている「マギーズ東京」がやりたいのは、まさにこの「緩和ケア」なのでした。
ちなみに、先月着工したマギーズ東京は今こんな感じです!
でも、マギーズ東京ではどんなことをするの?と聞かれたときに、「緩和ケア」という言葉を使うと、終末期の方のためのホスピスみたいなところ?と聞かれることが多くてややこしくなってしまうので、なかなかこの言葉は使えていません。
がんとわかったばかりの方も、終末期の方も、がんのどのステージでも、患者さんご本人もご家族も…なので、実際は「緩和ケア」の定義とほぼ同じなんですけどね。
もうひとつ誤解の多い「医療用麻薬」もしかり、言葉って、一度持ってしまったイメージを覆すのって難しいから、普及させるためには他の言葉を作っておきかえた方がいいのではないかとか、今日はそんなこともお話してきました。
「医療用麻薬」も、投与すると意識が朦朧として普通の生活ができなくなってそのまま死に向かっていってしまう怖いイメージがあったけど、「医療用麻薬」は麻薬といっても医療用に開発された鎮痛薬のことで、色々な種類、使い方があって、適正に使えば脳のバランスを取り戻すように作用して、しなやかに生活していくことをサポートしてくれるそうです。
がんに伴う精神的苦痛を専門的に治療する腫瘍精神科に行くこともそう。
がんに加えて心も病んじゃったのか…という風に抵抗を感じる方が多いそうだけれども、そうではなくて、闘病に伴う不安や不眠を解消するためにもっと気軽に足を運んで良かったんだって、分かりました。
(と言っても私は闘病中は腫瘍精神科の存在すら知らなかったので、本当に知っていたかった…!あの頃の私はめっちゃ必要としていたのに…!)
特に日本人は、我慢して耐えることが美徳的なところがあるかとしれないけど、がんとわかったときの衝撃も、心のつらさも、誰でも当たり前に起こりうることで、そのつらさや痛みを和らげてもらうケアを受けることは、自分が弱いのでもワガママでも贅沢でも最後の手段でもなくて、よりよく生きるために当たり前のこと。
それを知っていたらどれだけ救われたことだろう。
「緩和ケア」への誤解が上手くとけて、初発だって早期だってなんだって、つらいときはつらいものだから、ちょっとしたことでも、つらいとか、痛いとか、我慢しないで言った方がいいし、解決方法も、支えてくれる人も方法も色々あるんだよって知ってもらいたいです。
お医者さんも、看護師さんも、相談支援センターも、患者会も、私たちマギーズも、味方はたくさんいるから、我慢しないでつらい!!って言っていいんだよって。
そんなこんなで、今日の講座にお声がけいただいたときは「私は専門外だけど大丈夫かな?」ってドキドキしましたが、実際に参加してみて、あまりに共感するところが多く、なぜ呼んでいただいたのか、ようやく少し分かりました(笑)