全力疾走、ときどき爆睡。

報道記者/NPO法人maggie's tokyo共同代表・鈴木美穂のブログ。あれもこれも追いかけて、きょうも猪突猛進進進!!

マギーズに抱きしめられて。

5月6日、ロンドンから電車に揺られること片道3時間、日帰りでサウスウェールズにあるマギーズスヴァンジーへ。

5日間で英国7都市のマギーズセンターを巡る弾丸視察旅行、最後の訪問地。 

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故・黒川紀章さんが2006年に設計、2011年にオープンしたこのセンター、新進気鋭な他に見たことのない建築は、宇宙の中心をイメージしたそう。

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病院の敷地内に突如あらわれます。
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反対側には畑。
ガーデニンググループが耕したところだそうです。
 
到着したときには、ノルディック・ウオーキングから帰ってきたグループがクールダウンをしていました。
皆さん仲が良く和気あいあいとしていて、「ここでできる仲間はsocial familyみたいな感じ」だとか「たったひとつの(がんという)共通点があるだけなのに、それだけですぐに心がつながる」と言っていたのがとても印象的でした。
 
そして、センターの中に入ると、外観からは想像がつかない温かくて穏やかな空間が広がっていました。
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マギーズセンターの建築はそれぞれ個性的で全く違うのに、中は家庭的で安心感に包まれる雰囲気がどこもとこか似ていて不思議。
そして、癒しの緑が見える特等席があるのもマギーズセンターの特徴のひとつ。
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利用者の方々に混ざってお茶を飲んだり、ファンドレイジング担当の方からティップスを教えてもらったり、ここでもとても有意義な時間を過ごしました。
それぞれのセンターでフルタイムで働いているのは、センター長、キャンサーサポートスペシャリスト(ナースなことが多い)1~2人、心理士、ベネフィットアドバイザー1~2人、ファンドレイジング担当1~2人ということが多くて、そこにパートタイムで栄養士さんや様々なプログラムを提供する方々がいらっしゃるという構成になっていました。
また、その利用を完全無償とするためのファンドレイジングは、利用者や元利用者、家族や友人などのボランティアの方々の力を結集させるのがとても大切で、それぞれがランニングやバンジージャンプなどに挑戦して寄付集めをしたり、つくったケーキやハンドクラフトを売ったりしてくださっているのが大きな力になっているとのことでした。
 
この日も、ボランティアのヘレンさんが自らイベントをたてて集めたお金を届けにきていました。
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左からセンター長のサラさん、私、ヘレンさん、ファンドレイジングオーガナイザーのウェンディさん。
 
マギーズセンター訪問の日々は、いつ行っても温かく迎え入れてくれる方々のいる家庭的な場所を訪ね歩いているような夢のような時間で、ひとつ訪ねては次の目的地へ移動するという、本業でもなかなかないレベルの休みのないハードスケジュールだったけど、心も体もマギーズの優しさに包まれて抱きしめられて、たっぷり癒やされました。
 
そうして7日朝、日本への帰路に。
つくはずだったのですが…
 
泊まっていたロンドンのパディントンという駅から、ヒースロー空港へノンストップで向かうヒースロー特急に乗った後に、私たちの行くべき空港は、ロンドン市内にあるロンドンシティー空港だと気付いたのです。
ロンドンの空港といえばヒースローだと勝手に思い込んでしまっていた私、本当にバカだ…
 
持っていたチケットは、ロンドンシティー空港10時10分発のアムステルダム経由成田行き。
ヒースロー空港に着くのが8時15分。
 
これには本当に焦り、チケットを確認にきた車掌さんに事情を伝えると、「オーノー!!」と失笑しながら、どうしたらいいか一緒に考えてくれました。
そして、一部始終を見ていた同じ車両の方々も一緒になってどの戻り方をすればベストか検索し始めてくれたのでした。
 
「ヒースローからロンドンシティーまでタクシーだと120分と出るわ。これはアウトね。」
「電車だと乗り換えがうまくいって80分。」
パディントンまで特急で戻り、そこからタクシーならギリギリ間に合う可能性があると思うわ。」
 
そうした中、車掌さんが、こんなメモを書いてくれました。
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"パディントンまで無料で戻らせてあげてください。
間違えてしまったのです。
ロンドンシティー空港に行くべきだったのです。
ありがとう"
と。

「着いたらすぐに2番線に乗って折り返してこれを渡してね。グッドラック!」
 
特急の車両内とは思えない、まるでマギーズの中のようなホスピタリティー溢れるイギリスの皆様方のご対応に感謝し、空港の最初の停車駅で降りたのでした。
 
そうこうする中も、折り返しの特急を待ちながらも、乗るべきオランダ航空にいそいそと電話。
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この期に及んで記録におさえている同行取材団?!の宮井さん…ある意味さすがです。
 
ロンドンシティー空港へ滑り込むとしたらデットラインはいつか。
ヒースロー空港でオランダ行きチケットを買い直してオランダから成田行きの便をキャッチアップできるものか。
調べてもらったら、あいにく私たちのは変更不可能なチケット…
ただでさえ高いゴールデンウィーク、できるだけ安く行こうとケチったのが仇となりました。
それで、乗れなかったら全て買い直しをしないといけないので、できることは大至急ロンドンシティー空港に向かってみること、チェックインは40分前までなら受け付けているということで、車掌さんの書いて下さったメモを握りしめて折り返しの特急に乗ったのでした。
 
そして、パディントン駅ですぐにタクシーに乗るやいなや、「飛ばして!」とお願いし、フレンドリーで協力的な運転手さんは、「よっしゃ!」と頑張ってくれて、ロンドンシティー空港についたのは出発の35分前。
チェックインカウンターの女性に事情を話してお願いしますって言ったら、出発時間を見て「通しても大丈夫ですか?」とどこかに電話し始め、祈るような気持ちで待っていたら、無事にチェックインさせてもらうことができたのでした。

危機一髪。
飛行機に乗れるということがこんなに幸せなんて…
ありがとう、皆さん!
ありがとう、オランダ航空!
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そんなこんなでたくさんの思い出と教訓を胸に、先ほど無事成田に帰国しました。
これから羽田と成田を間違えてしまった方を見かけたら、全力でサポートしたいと思います。
 
さて。
私がこんなに必死になって戻ってきたのは、明日から仕事ということの他、5月13日(金)夜のマギーズ東京のチャリティーパーティーのためでもあります。
そこで英国マギーズで見てきたこと、学んできたことを短く濃く深くご報告できるよう仕事とミーティング以外の時間をフル活用してこれから鋭意準備します。
詳細とお申し込みははこちらからお願いします!
お申し込みの締め切り11日(水)まで、あと10名くらい来ていただけたらいいなぁと願っています。
 
英国マギーズを巡って、これだという確信がさらに強固なものとなり、同時に本気で背筋が伸びました。
もっとギリギリのパーティー前日12日(木)に帰国する共同代表秋山正子さんとメンバー一同、お待ちしています^ ^
 
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マギーズセンターの創始者、マギーさんの像と共に。

追伸:
これは本業の記者の仕事としてなのですが、明日9日(月)午前7時40分頃からラジオ日本の「岩瀬恵子のスマートNEWS」の記者特集コーナーに約20分間出演する予定です。
がんに関する経験や取材についてその場で聞かれたことをざっくばらんにおこたえすることになっていて、かなり自由に話せそうなので、もし良かったら移動中にでも聴いてみて下さい♪